日光点描1

日光点描（１）奥日光巡りとクリンソウ

イバイチの
旅のつれづれ

　奥日光巡り
　　　クリンソウ鑑賞
　
　田母沢御用邸記念公園

　東照宮と大猷院

　　（平成２７年６月１６日～６月１７日）　　　　［水戸から自家用車で］
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　奥日光巡り

平成２７年（2015）６月１６日（火）に奥日光千手ヶ浜にクリンソウ（九輪草）を見に行った。クリンソウはサクラソウの一種で、寺社の高い塔の頂上部にある相輪の一部である九つの輪に似ているのでクリンソウという名が付けられている。

　関東ではこの中禅寺湖畔の千手ヶ浜（せんじゅがはま）に群生しているクリンソウが知られており、６月の開花期には沢山の人が訪れるという事である。

　千手ヶ浜に行くには戦場ヶ原の入口にある赤沼駐車場に車を置き、小田代ヶ原を経由して千手ヶ浜まで行く低公害バスを利用するのが一般的だが、通常１時間に２本運行し料金は３００円／人である。しかし６月の混雑期には１時間～１時間半待つ場合があると時刻表に書いてある。バスの定員は５０名から６０名である。

　他には６月にだけ運航される中禅寺湖機船千手ヶ浜コースという船に乗って行くことも出来る。これは菖蒲ヶ浜からで千手ヶ浜に行くコースで、定期船が午後3回運航しており、最初に千手ヶ浜に行く便と最後に千手ヶ浜を出る便は、船の駅中禅寺からの発着になる。運賃は船の駅～菖蒲ヶ浜９４０円／人で菖蒲ヶ浜～千手ヶ浜が３８０円／人である。

　以前低公害バスで小田代ヶ原を往復したことがあるが、赤沼駐車場は朝早く行かないと満車になってしまうし、並んでバスを待つのも嫌なので、今回は船で行くことにした。船は最初の便が船の駅中禅寺発１２時３５分なので、午前中に平成１２年以来訪れたことが無かった奥日光を巡ることにした。また折角日光まで行くのでこれも久しぶりの東照宮にも参詣することにし、中禅寺温泉に宿泊する１泊２日の旅を計画した。

　水戸市の自宅を朝７時に出発し、北関東道水戸南ＩＣから東北道、日光宇都宮道路清滝ＩＣまでのんびり走って約２時間の距離である。ガラガラに空いているいろは坂を上がり、中禅寺湖畔の「船の駅中禅寺」に９時半に着いた。この辺りもシーズンオフのため人気は殆んど無い。

　「船の駅中禅寺」に行き発船時刻を確かめた所、１１時２０分に臨時便が出るとのことだった。定期便より１時間以上早い便だったが奥日光を巡っても間に合うと思い、１１時４０分に菖蒲ヶ浜からその臨時便に乗船することにした。その間自由時間が２時間弱あるので、前回の平成１２年にロマンチック街道巡りの時以来、１５年振りに奥日光の光徳牧場、湯の湖などを訪れることにした。

　まず菖蒲ヶ浜乗船場近くの竜頭の滝に行く。前回訪れたのは５月下旬で関東みつばつつじがピンクの花をつけ華やかに咲いていた。（小生のホームページの｢日本ロマンチック街道を巡る｣に写真と紀行文があるので見て下さい。）
　今回は緑一色の木々の間から豊富な水量の２本の滝が流れ落ちているが、それを見る人も殆んど居らず静かな風景だった。（写真は竜頭の滝）

　次に光徳牧場に行く。ここにはロマンチック街道巡りで平成６年頃から何回も訪れている。ここは何時行ってもあまり変わっていない。２０年以上前からの風景がそのまま残っているのだ。牧場の片隅の小屋の周辺に放牧の牛の群れが遠くに見え、牧舎との往復の道筋など昔と同じである。違うのはこちらが年を取ったことだけだ。昔食べた名物の濃い牛乳とバニラアイスクリームを食べて一休みする。（写真は光徳コラール、牧場３景、牛乳・アイス販売所）

　湯の湖に行く。ボートが置かれている風景は平成１２年に訪れた頃と殆ど変らず同じ景観である。ここもいつ来ても変わらぬ風景が魅力である。６月は観光客が少ないため小中学生の旅行や遠足の団体が多く来ている。写生をしている人達も居る。レンゲツツジが満開だった。以前訪れた時と同じような場所で写真を撮る。時が停まった様なこの景観が今後も変わらずに続くようにとの思いを残して菖蒲ヶ浜乗船場に戻った。写真は湯ノ湖３景とＨ１２年の写真）

　少し待っていると「船の駅中禅寺」を１１時２０分に発船した臨時便アストリア号（定員１２０人、１９トン）が見えてきた。乗船して２階の展望デッキから付近の山並みを見る。低い雲に覆われ男体山の中腹以上は見えない。長袖のシャツだけでは寒いくらいだ。（写真は桟橋に近づくアストリア号、船内からの景色３景）

　１１時３５分頃に菖蒲ヶ浜を出港し１５分位で千手ヶ浜に到着した。桟橋付近の浜辺にはこの船に乗ると思われる人たちがのんびり眺めている。人数が少ないので並ぶ必要が無いようだ。降りたところに千手ヶ浜の説明板があるがだいぶ古びて読み難い。（写真は千手ヶ浜桟橋付近、待っている人々、説明板、出航するアストリア号）

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クリンソウ鑑賞

 　出港する船を見送って早速近くに咲いているクリンソウを見に行く。鹿が食べにくるというので網で囲ってある群生地は丁度見ごろだった。低公害バスの停留場は船着き場の２００ｍほど手前にあってそちらから来る人も多い。しかし歩いて１５分ほどのところに大きな群生地があるというので、そこに向かって湖に沿って伸びる林間の小路を歩く。（写真は船着き場付近のクリンソウ群生地５景）

　つり橋を渡ると広くネットで囲われた群生地が現れる。その先には小川が流れておりその流れに沿ってクリンソウが沢山咲いている。川底まで見える透き通った川面に映るクリンソウは美しく、時の流れもゆったりと静かであり、何時まで見ていても飽きることがない。（写真は川沿いのクリンソウ５景）

　花の盛りは少し過ぎていたが、少し明るい曇天で時おり日がさす天候なので、水の色も明るくなったり暗くなったりし、クリンソウの葉の淡いみどり色と、濃いピンクや薄いピンク色、赤一色や白い斑入りの赤、白色も橙々がかったものなどのいろいろな色の花が光の具合によって様々に変化する。（写真は引き続き川沿いのクリンソウ５景）

　備え付けの木製のベンチに腰を掛け暫らく眺めた。着いたのが平日の昼前であり船便も臨時便だったので、観光客も少なくゆっくり鑑賞する時間がとれた。（写真は引き続き川沿いのクリンソウ５景）

　道順はやがて水辺を離れて木立の中に入り、草原の木々の下にクリンソウが群生するのが見られるようになる。鹿よけのネットがあるので間近には行けないが沢山の花が咲いている風景は遠くからでも迫力のある眺めである。（写真は木立の中のクリンソウ４景）

　一巡した頃、昼も過ぎたので売店は無いかと探したが、この千手ヶ浜にはそんなところは一つも無かった。持参した菓子とお茶を飲んで一息付き、１３時２５分発の船で帰ることにした。本来だったら千手ヶ浜着１３時１５分に到着する船で見に来る筈だったので、だいぶ時間が短縮できた。（写真は引き続き木立の中のクリンソウ４景）

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　今度到着する船は５００人乗りの「けごん」号という双胴船で、臨時便だったアストリア号の１９トンに対し１１８トンの大型船である。桟橋に接岸するのも一苦労で４００人くらい乗船していた観光客がぞろぞろ降りてくる時間だけで出発時刻はだいぶ過ぎてしまった。ツアーを主催する旅行会社の旗が４社分あり、あの多くの人たちが一斉にクリンソウを見に行くのでは一列に並んで見るしか無く、好きなところで眺めたり写真を撮ったりすることはなかなか出来ないと思われた。（写真は桟橋に接岸するけごん号）

　まだ平日だったから良かったが休日には更に多くの人が押し寄せ、注意書きにあったクリンソウを踏み荒らすことも行われるようで、そのうち観光客の千手ヶ浜への入浜規制が行われるのではないかと心配になった。それにしてもあの大集団が来る前にゆっくり眺められたのは良かったと思う。帰りの船はガラガラで菖蒲ヶ浜までのんびりと船旅を楽しめた。遅く着いたら帰りも満員だったと思うとつくづく幸運に感謝する思いだった。（写真は菖蒲ヶ浜の桟橋付近、船会社のパンフレット表紙）

　時間に余裕ができたので、イタリア大使館別荘記念公園が立木観音の先にあるというので、それを見ようという事になり、立木観音前の歌ヶ浜駐車場に行く。「イタリア大使館別荘記念公園」とは昭和３年にイタリア大使館の別荘として建てられ、平成９年まで歴代の大使が使用していたものを栃木県が買い取り建物を修復、復元して一般公開したものだそうである。しかし一般車両の通行規制が行われていて歌ヶ浜駐車場から１５分～２０分歩いて行かねばならないという事であり、クリンソウ鑑賞でだいぶくたびれていた上、雲行きも怪しくなってきたので行くことは諦めて真っ直ぐホテルに行くことにした。（写真はイタリヤ大使館別荘記念公園のパンフレット表紙）

　ホテルは「旧外国大使館別荘跡　湖上苑」という所で、「船の駅中禅寺」の隣にあるホテルである。１４時３０分頃に歌ヶ浜駐車場を出るときに雨が降り始めたが、宿ではチェックインは１４時からという事だったので早速部屋に入れた。雨は直ぐ本降りになってきた。宿は中禅寺湖畔にあるので窓から中禅寺湖が良く見える。建物は古く部屋数は１０室しかないが、温泉は狭いながらも硫黄泉掛け流しで、湖が見える露天風呂が付いていてのんびり入れる。２階は全てツインルームの洋室でそこに泊まった。（写真はホテル入口、部屋からの眺め）

　宿泊プランは「選べる冷酒セットプラン」というものを選んだ。冷酒セットが４種類ありその中から一種類選べるという。小生は久保田満寿、八海山吟醸、〆張鶴吟撰のセットを、家内には田酒特別純米酒または獺祭（だっさい）純米大吟醸、久保田吟醸原酒、磯自慢、呉春特吟というセットを選んで貰った。田酒は青森の酒であり、数年前弘前で飲んだがまだ生産量が少なく幻の酒と言われていた。獺祭（だっさい）は山口の酒で、オバマ大統領訪日の手土産として贈られた酒である。どちらにしようかと思ったが、以前冬の青森から弘前に行った時、勧められて飲んだ田酒が美味しかったことや、酒は新潟か東北と思い込んでいることもあり田酒を選んだ。（写真はセット内容と冷酒セット２景）

　磯自慢は静岡焼津の酒、呉春は大坂池田の酒で谷崎潤一郎が愛飲したことで知られている。それぞれグラス一杯づつだったが７種類の上等の酒を味わう事が出来、料理も日光名物の湯葉やニジマスなどが出てきて味も良く、満足できる食事だった。（写真はメニューと最初に出てきた料理）

（以下次号）

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