日光点描2

日光点描（2）　田母沢御用邸、東照宮

イバイチの
旅のつれづれ

　奥日光巡り
　　　クリンソウ鑑賞
　
　田母沢御用邸記念公園

　東照宮と大猷院

　（平成２７年６月１６日～６月１７日）　　　［水戸から自家用車で］
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田母沢御用邸記念公園

　翌６月１7日（水）９時過ぎにホテルを出てクリンソウが咲いているという田母沢御用邸記念公園に行く。中禅寺湖畔から、いろは坂を降り２５分位で着いた。

　田母沢御用邸記念公園は明治３２年（1899）に病弱だった皇太子（後の大正天皇）の夏の静養所として造営されたが、大正天皇即位後の大正１０年（1921）までに大幅な増改築が行われ、現在の形になった。その後、昭和天皇の避暑地として利用され、現在の天皇も昭和１９年（1944）に１年間、疎開先として利用された。（写真は入口の表札、入園券）

　昭和２２年（1947）に御用邸は廃用となり、修復工事などを行って、平成１２年（2000）日光田母沢御用邸記念公園として開園した。平成１５年（2003）には主要な建物が国の重要文化財に指定されている。

　全体の部屋数は１０６室あり、江戸・明治・大正の三時代の建築様式の建物が一つの集合建築群として当初から建てられたかのように存在しているところに大きな特徴があるとされている。１０６室のうち天皇の奥向きの部屋が２３室、臣下向きが８３室という事で、天皇のご滞在の時は大勢の補佐が必要とされていたのである。（写真は御車寄--出入り口として使用）

　部屋の中には「剱璽（けんじ）の間」といって天皇の１泊以上の行幸には三種の神器の内、草薙剣（くさなぎのつるぎ）の複製と八尺瓊勾玉（やさかにのまがたま）を持参する習わしになっており、その剣と勾玉を安置する部屋がある。なお三種の神器のもう一つは八咫鏡（やたのかがみ）である（写真は剱璽（けんじ）の間）

　大正天皇が執務室兼居間として使用された「御座所」には絨毯が敷き詰められている。「謁見所」という天皇が来客と面会する部屋や「御玉突所」というビリヤードをする部屋などもある。写真は御座所、謁見所、御玉突所）

　シャンデリアなどの照明器具にもいろいろな種類がある。前記の三つの部屋はそれぞれ異なった照明具である。皇后が来客と面会する内謁見所という部屋や他の部屋も違った照明器具を使用している。（写真は内謁見所や他の照明具２景）

　また襖絵や板戸絵もいろいろあり沢山展示されていたがその中から４点写真に撮った。（写真は板戸絵４景）

　次に庭園を見る。庭先から御展望室という唯一３階建の建物を見る。ここは夏の一時期と記念行事など特別に拝観できる時は見学できるが、他の時期は閉められている。また樹齢４００年の大きなしだれ桜があり、４月下旬にはきれいな花を咲かせるそうである。（写真は庭園からの建物３景、最後の写真の中央の木はしだれ桜）

　庭の一隅には池が造られており、そこに注ぐ小川にクリンソウが咲いていた。千手ヶ浜のある中禅寺湖の水面標高は１２６９ｍあるが、東照宮付近は６３０ｍで、スカイツリー（634ｍ）とほぼ同じ高さであり、見頃は過ぎてしまったと思っていたが、千手ヶ浜とは違って日本庭園にマッチした風情できれいに咲いていた。（写真は庭園内の池、クリンソウ３景）

　数少ない中庭を含めて庭園の芝生や樹木、草花は良く手入れされており、芝生や池越しに見る御用邸の建物は観賞する人も少ないせいか、木々の緑に包まれて静かに時が流れて行く感じだった。（写真は中庭、小川としだれ桜と建物、池と建物）
東照宮

　御用邸記念公園を後にして東照宮に向かう。１０分ほどで、神橋の前を通り東照宮の駐車場に入る。東照宮には何回か行ったことがあるが、何時も混んでいる時で、じっくり見ていることが無かったので、今回は世界遺産に登録になった事だし、陽明門をはじめとする国宝群を良く見て来ようと思っていた。

　日光の世界遺産は｢日光の社寺｣という名で日光東照宮、日光二荒山神社、日光山輪王寺の二社一寺が平成１１年（1999）に登録されている。この中で東照宮の建物、輪王寺の建物、輪王寺内の大猷院（だいゆういん）という徳川家光の廟所が見応えがある。しかし今回見に行った時は東照宮のメインである陽明門は修復工事中で見られなかった。同じ世界遺産の姫路城は修復が大々的に報じられていたので、修復が終わったあと見に行けたが、陽明門が修復されているとは夢にも思っていなかったので、事前の調査をしっかりしなかったのは失敗だった。（写真は拝観券に載ってる陽明門）

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　後から良く調べたら平成２５年から平成３１年まで６年間もかかるとのことである。また輪王寺の本堂である三仏堂は平成１９年から平成３３年まで半解体修理が行われているという事でこちらは１４年掛かるので、ここ当分は二社一寺の観光は諦めたほうが良いかもしれない。気の毒なのは小中学校の修学旅行や遠足の子供たちである。通常は国宝の陽明門の前で集合写真を撮るのだが、今回は重文の三神庫（さんじんこ）の前で写していた。

　東照宮は社号標と呼ばれる東照宮の石の門標の先に重文の｢石の鳥居｣がある。黒田長政が九州から運ばせたものである。その先向かって左側に同じく重文の五重塔がある。小浜藩主の奉納である。その先に拝観受付所があり、１３００円/人の拝観料を払って同じく重文の表門を入る。（写真は門標と石の鳥居、五重塔、表門遠景、表門）

　拝観券の裏に境内のマップが描かれている。
　表門は左右に仁王像が安置されているので、仁王門とも呼ばれている。仁王像の裏側には同じく左右に唐獅子の像が置かれている。（写真は境内マップ、表門（仁王門）、阿形の仁王像、裏側の唐獅子像）
　表門を潜ると、重文の三神庫と呼ばれる建物が３棟並んでいる。左折すると三神庫と参道を挟んで神廐舎という神馬を繋ぐ建物があり、その長押（なげし）の上に馬を守るとされている猿の彫刻が８面ある。その中にある｢見ざる・言わざる・聞かざる｣の三猿(重文)は有名である。　（写真は三神庫、神廐舎の猿の彫刻２景、三猿の彫刻）

　参道は右手に曲がり、参道の左側に重文の｢御水舎｣（おみずや）という口をすすぎ手を清める手水場がある。参道を進み階段を上がると左右に鼓楼と鐘楼とが参道を挟んで並び、その先に国宝の陽明門がある筈だが修復中でベニヤとビニールで覆われ見ることは出来ない。陽明門の左右には国宝の回廊が伸びており、外壁は花鳥の彫刻で飾られている。左手の鼓楼の先に鳴龍で知られる本地堂がある。（写真は御水舎釣鐘と鐘楼、回廊の花鳥の彫刻、本地堂）

　ベニヤでおおわれた陽明門を潜ると左側に重文の神輿舎（しんよしゃ）があり、三基の神輿が納められている。中央が家康の神輿で、左側に秀吉、右側には源頼朝の神輿が安置され例大祭の千人行列の時、渡御するそうである。（写真は神輿舎２景）

　陽明門の正面に唐門（国宝）がある。唐門の門柱や上部の装飾は胡粉（ごふん）で白く塗られ、細かい彫刻が施されている。唐門の奥に御本社（国宝）がある。御本社は、東照宮の拝殿と本殿であるが撮影禁止になっている。（写真は唐門２景、唐門の案内、唐門と御本社２景）

　唐門の右手に行くと坂下門を潜り、奥宮に参拝できる長い石段がある。入口の坂下門の上部に左甚五郎作といわれる眠り猫（国宝）の彫刻がある。石段は思ったより長く疲れてしまった。奥宮には拝殿と御宝塔がある。（写真は眠り猫、奥宮拝殿、御宝塔）

　奥宮参拝で疲れ果て輪王寺の大猷院にいくのは止めることにした。大猷院は徳川第三代将軍家光の廟所である。東照宮の様に豪華絢爛ではないが、金と黒を使用した重厚で落ち着いた造りである。２２件の国宝や重文の建物があり、見所が多いが訪れる人は東照宮ほど多くないので落ち着いて鑑賞できる。入口の仁王門（重文）から二天門（重文）、夜叉門（重文）と高度を上げて行く配置になっており、最後の唐門（重文）を過ぎると国宝の拝殿、本殿がある。

　大猷院には以前参拝したことがあるので、以下にその写真と説明文を載せる。まず仁王門の前方に｢日光廟大猷院｣の石の標柱が建てられおり、石段を上がると仁王門がある。中には阿形と吽形の二体の仁王像が置かれている。（写真は大猷院廟の説明、見取り図、仁王門）

　仁王門を過ぎると水盤舎がある。九州の鍋島公が奉納したもので、唐門造りの屋根を１２本の御影石で支えている。（写真は水盤舎、水盤舎上部の構築と彩色）

　左手の長い石段を上ると日光の境内で一番大きな二天門がある。四天王のうち持国天、広目天の二天を祀ってある。その裏側には風神・雷神が安置されているので雷門ともいわれている。　更に階段を上がると左右に鼓楼と鐘楼がある。彩色がきれいに施されていた。写真は二天門、持国天像、雷神像、鐘楼、鐘楼上部の彩色）

　またまた階段を上ると霊廟を守る四体の夜叉が安置された夜叉門がある。正面、背面の左右柵内に「毘陀羅」、「阿跋摩羅」、「烏摩勒伽」、「鍵陀羅」の四夜叉を納め、霊廟の鎮護に当たっている。夜叉の背面には牡丹の花が彫刻されているので、牡丹門とも呼ばれているそうである。東照宮の陽明門に当たる門である。（写真は夜叉門、毘陀羅像、鍵陀羅像）

　夜叉門の先に唐門がある。唐門の上部中央に「白龍」の彫刻があり、唐門を守護しているのだそうである。唐門の先には拝殿・相の間・本殿と連なる権現造りの建物があり、すべて国宝である。金箔などが沢山使用されているので、「金閣殿」と呼ばれているそうである。この場所は撮影禁止になっている。（写真は唐門、唐門上部の白龍の彫刻、拝殿と本殿）

　本殿の右方向に奥之院の入口に当たる皇嘉門という明朝様式の竜宮造りの門があり廟所に続くのだが、この先は立ち入り禁止になっている。（写真は皇嘉門）

　今回は疲れて大猷院には行かず、雨も降り始めたので帰ることにした。日光ＩＣから日光宇都宮道路に入り遅い昼食を食べようと日光口ＰＡに着いた時、急に雨が激しくなり前方の視界も殆んど無くなり、車から出てＰＡに入るにもずぶ濡れになりそうなので、暫らく車中に閉じ込められたままになってしまった。やがて雨の勢いが少し弱くなったので、急いでＰＡに入りそばなどを食べた。東北道から北関東道に入り、県境のトンネルを抜けると茨城県側は全然雨は降らなかったようで、その落差の大きいのに驚いた。
　