北山崎・龍泉洞

'12 盛岡・北三陸紀行 (4) 北山崎、龍泉洞

イバイチの
旅のつれづれ

　盛岡・三陸海岸北部紀行
　　　（平成２４年９月２日～９月５日）

　　　　盛岡（泊）―旧渋民村―宮古浄土ヶ浜―
　　　　休暇村陸中宮古（泊）―姉ヶ崎―北山崎―
　　　　龍泉洞温泉（泊）―龍泉洞―盛岡
　　　　　　（観光バス、レンタカーで）
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６．宮古市浄土ヶ浜（2）

　その夜は休暇村｢陸中宮古｣に泊まった。浄土ヶ浜第１駐車場から約９km北上した高台にある。震災の時には暫く被災者の避難場所になっていた。翌朝、三陸の海を眺める３０分ほどのお散歩会があるというので参加した。休暇村から５分ほどの所に姉ヶ崎展望台という場所がある。姉ヶ崎はウミネコ、ウミウの繁殖地として知られているそうで、繁殖期には数千羽の群れの鳴き声が休暇村まで聞こえるほどだそうである。そこから「自然の小径」という遊歩道を、解説板をたどって行くのだが、浄土ヶ浜展望台という場所があり、遥か彼方に小さく浄土ヶ浜が見えた。(写真はウミネコの繁殖する島、日出島と浄土ヶ浜遠望、浄土ヶ浜展望台近くの景観、浄土ヶ浜と後方にある月山(御殿山））

　昨日は浄土ヶ浜を外から眺めたので、内側から見ようと休暇村をチェックアウト後再び浄土ヶ浜に引き返した。浄土ヶ浜には第１～第３の駐車場があるが、どれも台地の上にあり震災後はそこから海岸まで歩いて行かなくてはいけない様だった。第３駐車場の近くに宮古市の仮設住宅が１０戸近く建っていた。入居者が丁度車で帰ってきたので、車を置いても良いか尋ねたら「長くなければ構わないよ」と言われたので、車を置き、一方通行の出口にあたるところから徒歩で奥浄土ヶ浜に下って行った。途中ハマユリ展望台という所から浄土ヶ浜北側の外海を眺めた。（写真は浜ゆり展望台の案内、展望台からの眺め）

　更に下って行くと奥浄土ヶ浜の海岸が見え、休館中と言われた浄土ヶ浜レストハウス観光バスとが見えた。観光バスは第１駐車場から一方通行の道を通れるらしく、観光客が大勢降りているところだった。しかしそれ以外の人は少なく、白砂青松の素晴らしい景観をゆっくり見ることが出来た。（写真は奥浄土ヶ浜風景４景）　

　浄土ヶ浜レストハウスは平成２２年にリニュアールオープンしたが津波で２階建ての建物の天井付近まで襲わ大きな被害を受けた。しかし外枠は残ったので再建を進め、今年７月に２年ぶりの海開きに合わせて開業したそうである。浄土ヶ浜には今はまだ一般車は通行禁止で、バス、タクシーは入れるということだが観光客は少ない。浄土ヶ浜レストハウスの前に宮沢賢治の「うるはしの　海のビロード昆布らは　寂光のはまに　敷かれひかりぬ」という歌碑が置かれていた。賢治は大正６年にここを訪れ上記の歌を詠んだ。平成８年の賢治生誕１００年を記念して建立されたものであり津波にも流されず、残っていた。（写真は奥浄土ヶ浜風景～遊覧船も見える、開業した浄土ヶ浜レストハウス、宮沢賢治歌碑）
　レストハウスで一休みしていると宮古駅に行くバスが来た。宮古駅～奥浄土ヶ浜間を４月から運行始めたそうだが、このバスに乗ったのは小生と他に一人だけだった。暑い中を第３駐車場までの上りの道を歩かずに済みほっとした。

７．北山崎展望台

　浄土ヶ浜から国道４５号線に出て北山崎という景勝地のある田野畑村に向かう。宮古市から北上して久慈市までの間には三陸鉄道北リアス線という鉄道が通っているが平成２３年３月１１日の震災で全線不通になり、田野畑村にある島越駅は駅そのものが津波で流失してしまった。しかしその後復旧が進み、現在不通になっている区間は小本～田野畑の約１０キロの区間だけになっており、平成２６年４月には全線が復旧の予定である。

　宮古市から海岸沿いの国道４５号線を北上すると岩泉町に入る。ここから旧道に入り、急坂を上って行くと熊ノ鼻展望台というビューポイントがある。小本海岸の南に突き出た半島の形が熊の頭と鼻先に似ているのでそう名付けられたという。（写真は熊ノ鼻展望台からの景観）

　更に進み、田野畑村に入ると、鵜の巣断崖という景勝地がある。ここは北山崎と並ぶ北三陸を代表する景勝地で高さ２００メートルもの断崖が屏風を立て掛けたように５列に連なっている雄大な景観である。崖の中腹にウミウの巣があることから名付けられた。
　｢三陸海岸大津波｣の著者である吉村昭氏は、ここの壮大な景色をヒントにして「星への旅」という作品を残したが、その文学碑が近くにある。（写真は鵜の巣断崖の案内とその景観、及び吉村昭文学碑）
　国道４５号線から北山崎に通じる県道４４号線に入り海岸沿いの島越地区を通った。三陸鉄道北リアス線島越駅が津波で流された場所である。島越漁港にもまだ津波の爪痕がのこっている。その少し先の平井賀漁港近くのコンクリートの台の上に三陸鉄道の電車が置かれているのを見付けた。何が何だか分からず、帰宅して三陸鉄道にメールで問合せたところ、平井賀川の水門で、機器操作室に三陸鉄道の車両と同じ色を塗ったものだとの回答があった。岩手県岩泉土木事務所で施工したものだそうである。遊び心があり好ましいが、震災の後でもあり何事かと驚かされた。（写真は島越漁港２景、平井賀川水門２景）

　更に先に行くと田野畑村の第三セクターが運営するホテル羅賀荘が見える。津波で地上１０階建の３階以下が激しく損壊したが、今年１１月再開を目指して改修中である。
ここの羅賀漁港から北山崎を海上から眺めるサッパ船が出ている。　　（写真は改修中のホテル羅賀荘）

　道路はやがて台地に上がり、シーサイドラインを行くと北山崎に着く。北山崎はＪＴＢの観光資源評価の「自然資源・海岸の部」で最高ランクの特Ａ級に格付けされた景勝地ということで知られるようになった。高さ２００メートルの断崖に沿って色々な形の岩石や島が配置され、また大小さまざまな海蝕洞窟があるなどダイナミックな海岸線が８キロにわたって続いていて海のアルプスと呼ばれている。あいにく雨が降り出し、視界が悪くなったが充分にその景観は楽しめた。（写真は北山崎５景）

　展望台から断崖直下の波打ち際まで行ける長い階段があるが、震災後は通れなくなってしまっていた。この付近はミサゴの営巣地との看板があったがミサゴの英名はＯｓｐｒｅｙで、試験飛行で事故が相次ぎ沖縄配置で話題になっている「オスプレイ」の事である。
（写真はミサゴの看板と北山崎景観）

　展望台は第１から第３まであるが岬の先の方のある第２展望台からの眺めが一番良い。展望台の手前は広い園地になっていてビジターセンター、レストハウス、宿泊施設、食堂などが揃っている。（写真は第１展望台手前の園地とビジターセンター）

　８．龍泉洞

 　北山崎から岩泉町の龍泉洞温泉ホテルに行き宿泊した。翌朝日本３大鍾乳洞のひとつといわれている龍泉洞に行く。この洞は総延長５,０００メートル以上あるといわれているが、そのうち７００メートルが公開されている。洞内の気温は１０℃～１２℃で寒いくらいである。写真は龍泉洞温泉正面、龍泉洞の入口付近と洞窟への入退場口）

　探勝路は完備されているが階段が多く上がり下がりが大変だった。ここの特徴は水深１００メートル近い地底湖が多くあり、そのうち第１～第３地底湖が公開されている。青く深い神秘のドラゴンブルーとのキャッチフレ－ズで電気で照らされているが、深すぎて写真には良く撮れない。
（写真は第１地底湖、摩天楼、竜宮の門、月宮殿）

　探勝路に沿って摩天楼、竜宮の門、月宮殿、守り獅子、亀岩などと命名された鍾乳石が現れてきて最奥部に地底湖がある。探勝路の下には豊富な水量の地下水が轟音と共に流れていた。（写真は守り獅子、亀岩、長命の泉、長命の淵）

　龍泉洞と県道を挟んで昭和４２年に発見された龍泉新洞科学館がある。この洞には石器時代の出土品が多数発見されていて原始人が住んでいたということである。現在２００メートルほどが公開されているが、撮影禁止ということで内部の写真は写さなかった。
（写真は龍前新洞入口付近）

　龍泉洞には鍾乳洞につきものの石筍、石柱などが少ないので違和感がある。福島県にあるあぶくま洞の方がよほど鍾乳洞らしいと感じた。

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