秋田4

'13 青森龍飛・秋田紀行 (４) 　秋田県男鹿半島

イバイチの
旅のつれづれ

　青森龍飛・秋田紀行
　　（平成２５年１２月４日～１２月７日）
　③１２月６日
　　秋田市―男鹿総合観光案内所―寒風山―
　　真山神社―入道崎―本山門前―男鹿海鮮市場―
　　秋田市民俗芸能伝承館―ドーミーイン秋田（泊）
　　　　（レンタカー）
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５．男鹿半島めぐり

　３日目の１２月６日(金)朝は曇り空だった。前夜の秋田市街は雨だったし東北日本海側はもう冬の始めで晴天はあまり期待できない。旅行初日の龍飛岬の晴天は貴重なものだった。
　秋田は１１月に雪が降ったので心配したが、その後の降雪は無く、道路にも雪は無く安心して秋田駅前のトレン太くんというＪＲレンタカー営業所に行き、３日前に予約したトヨタヴィッツを借りた。｢大人の休日倶楽部パス｣で支払うと１２時間４，０００円である。

男鹿半島を効率良く回るにはレンタカーが欠かせない。８時半に営業所を出発し、秋田中央ＩＣから秋田自動車道に入り、昭和男鹿半島ＩＣから国道１０１号線に入り、男鹿半島の入口にある男鹿総合観光案内所に行く。ここには高さ１５メートルある２体の巨大な「なまはげ立像」がある。（写真は男鹿総合観光案内所にあるなまはげ像）

　なまはげは男鹿半島の家々で大晦日に行われる伝統的な民俗行事で、｢男鹿のナマハゲ｣として国の重要無形文化財に指定されている。「ウィキペディア」によると「なまはげは基本的には山の神々の使いとして里に来訪し、怠惰や不和などの悪事を諌め、災いを祓いにやってくる使者（鬼・妖怪の類い）であり、家人は正装をして丁重にこれを出迎えるという日本の民間信仰のひとつであり、年の終りに大きな出刃包丁（あるいは鉈）を持ち、鬼の面、ケラミノ（わらの雨具）、ハバキ（わらのすね当て）をまとって、なまはげに扮した村人が家々を訪れ、「悪い子はいねがー」「泣ぐコはいねがー」と奇声を発しながら練り歩き、家に入って怠け者、子供や初嫁を探して暴れ、主人が今年１年の家族のしでかした日常の悪事を釈明するなどした後、酒などをふるまって送り返す民間行事とされている」と記されている。
　男鹿総合観光案内所で男鹿半島の案内マップやパンフレットを貰って寒風山に向かった。

　　寒風山は標高355mの低い山だが、周囲に高い山が無いため見晴らしが良い。山頂にあるスカイパーク回転展望台からは男鹿半島から八郎潟、日本海などの３６０℃の大パノラマが楽しめる。　今はシーズンオフなので観光客は一人も居らず、階下にあるレストランやお土産店は閉鎖されている。（写真は回転展望台近くの寒風山の標識、回転展望台外観、展望台手前にある小鬼の像）

　回転展望台は廻っているとのことだったが、あまり良い天気では無く、５００円払って一人だけで乗っていてもつまらないので割愛した。展望台下からも同じ様な風景は見られる。（写真は秋田市方面、能代市方面、八郎潟調整池方面）

　山頂を降りて妻恋峠という所から、なまはげラインという山側観光ラインに入る。シーズンオフなので対向車は殆んどいない。しばらく走るとなまはげ直売所という地元の野菜や土産物などがある販売所がある。そこになまはげ館に行く矢印の奇妙な形の案内標示があり、そちらへの道を行く。（写真は妻恋峠、奇妙な案内表示）

　少し走ると「真山（しんざん）の万体仏」という小さなお堂があり、三間四面の壁や屋根裏一面に一万三千体あると云われる小さな地蔵菩薩がぎっしりと安置されている。このお堂は更に奥に行った所にある真山（しんざん）神社と一体になっていた光飯（こうぼう）寺に置かれていた金剛童子堂が移されたものという。光飯寺は明治初期の廃仏毀釈の時廃寺になった。（写真は真山の万体仏堂、地蔵菩薩群、解説板）

　万体仏堂からしばらく走ると、なまはげ館、男鹿真山伝承館が並んであり、その先に真山（しんざん）神社がある。真山神社は社伝によれば武内宿禰が男鹿半島に下向した時、真山に神を祀ったのが起源で、神仏混合の平安から江戸時代には真山別当光飯（こうぼう）寺が開かれて修験霊場として栄えた。明治になると神仏分離令により真山（しんざん）神社を残して光飯寺は廃寺になったという。（写真は真山神社の縁起、光飯（こうぼう）寺跡の解説板）

　現在の神社の仁王門は旧光飯寺の山門で、鎮座している仁王像は江戸後期に秋田藩主佐竹侯の寄進によるものである。仁王門の上には大きな出刃包丁が奉納されている。なまはげが包丁を振りかざして居るのに因んだものである。（写真は仁王門、吽形の仁王像、奉納された包丁）

　真山神社拝殿の左右には絵馬の奉納場所があり、なまはげの絵を印刷してある絵馬が沢山結びつけられていた。（写真は真山神社拝殿、絵馬）

　真山神社の神事として柴灯祭（せどまつり）というものがある。正月三日に柴のかがり火で餅を焼き、神に献じて五穀豊穣などを祈るもので、なまはげはこの時の神の使者｢神鬼｣の化身といわれている。それに因んで毎年２月には３日間にわたり「なまはげ柴灯祭り」として、当神社神楽殿前の広場で神事としての柴灯祭と民俗行事のなまはげを組み合わせた幻想的で勇壮な祭がおこなわれる。（写真は柴灯（せど）まつりのチラシ、柴灯祭が行われる神楽殿前の広場）

　また男鹿半島は三方を海に囲まれているため漁業が盛んであるが、沿岸は岩礁地帯であるため、岩に当たっても壊れない丸木舟が小漁業や運搬などに使用されていた。この舟は「えぐり舟」といわれる真山の樹齢３００年以上の天然杉をえぐって造るもので、１本の木が素材なので継ぎ合わせ部分が無く頑丈であるため、１００年以上持つそうである。（写真は古い丸木舟）

　以前は日本海沿岸各地で広く使われていたが現在では男鹿半島にわずかに残っている程度であり、真山神社には６～７台保管されているが、新しいものが市の文化財として参道の近くに陳列されている。真山神社には｢日本海域文化研究所｣という研究所が置かれており、男鹿半島におけるなまはげや丸木舟などの各種民俗資料の収集と保存活動を行っている。（写真は文化財の丸木舟、研究所と祭実施本部の看板）

　旧光飯（こうぼう）寺の庭園があった場所には慈覚大師お手植と伝えられる樹齢１１００年の榧（かや）の木があり、県の天然記念物になっている。付近を巫女さんが掃除をしていた。（写真は榧（かや）の木、その案内標示、掃除をする巫女さん）

　真山神社の手前に男鹿真山伝承館という男鹿地方の曲家民家を移設してなまはげの実演を見せる場所や、なまはげ館という男鹿半島各地区の微妙に違うなまはげの面、衣装を展示している場所がある。ここでは街灯もなまはげの姿である。（写真は伝承館、なまはげ館、街灯）

I　真山からなまはげラインに戻り暫らく行くと男鹿温泉郷があり、なまはげ立像が置かれている。更に進むと男鹿半島最北端の入道崎に到着する。（写真は温泉郷入口のなまはげ像、入道崎灯台、入道崎の海、灯台とモニュメントの一部）

１１月中旬以降は入道崎灯台や遊覧海底透視船などの観光施設はすべて閉鎖されているので、広い駐車場には殆んど車は居ない。白と黒の縞模様がある入道崎灯台は塗り替え作業中で網をかぶっていた。

　入道崎は北京、ニューヨークと同じく北緯４０度に位置する場所であるというので、「北緯４０°モニュメント」というものがある。しかし北緯４０度の位置は日時計などが置いてあるモニュメント中央部では無く、北方（前方）の方向にある大きな「北斗の石」から日時計を経て南方(後方)に真ん中に細い隙間のある４個の石が並んでいる最後尾の石の場所なのである。。（写真は日時計のある「北緯４０°モニュメント」の中央部、モニュメント配置板、北方にある「北斗の石」)

　写真を撮っている時はそんなことは分からず後から気が付いた。
　それにしても不親切で意地悪なモニュメントだ.。（写真は南方の北緯４０度の位置に続く石、海とモニュメントの一部、灯台とモニュメントの一部）

　駐車場の前には８件の食堂、土産物店があり、店の前にはそれぞれなまはげを置いて客引きに利用している。外は寒くて、土産物店の中に入りお茶を飲む。昼近くなったので、食事にしようかと思ったが、海鮮丼２５００円と高いのでもっと安いところまで我慢することにして、土産に「ハタハタ浜焼」という１０００円の干物を買った。（写真は店の前のなまはげ２景）

　ここから男鹿半島西海岸沿いに「海岸絶景ライン」と呼ばれる道を行く。冬間近で行き交う車も少なく、道路近くの草は一面枯野で荒涼たる風景である。ホッキョクグマなどが居る男鹿水族館を横目に見て、カンカネ洞という海の難所を遥かに見下ろし、本山門前という場所に来る。（写真は男鹿水族館前の海岸、カンカネ洞のある港、カンカネ洞の説明板）

　本山門前は、なまはげ伝説の真山神社から山越えで来るハイキングコースの終着点である。真山神社の奥宮は標高５７１mの「真山」山頂にあるが、その先には標高７１６mの「本山」という男鹿半島で一番高い山がある。そこから毛無山というピークを通り、国の重要文化財の赤神神社五社堂に参詣し本山門前に降りるコースで、１１km、約４時間の「お山かけコース」という名で昔修験者が通った道である。（写真は赤神神社五社堂）

　本山門前には高さ９,９９mあるなまはげ立像がある。伝説によれば昔、中国の漢の武帝が不老不死の薬草を求めて五匹のこうもりを従えて男鹿にやってきた。五匹のこうもりは鬼に変身して武帝のために働いたが、正月十五日だけは休んで村里に降り、作物や他地区、村の娘たちをさらい暴れまわった。
　困り果てた村人たちは武帝に「一晩で海岸から五社堂まで千段の石段を積み上げれば娘を差し出すが出来なければ鬼を村に降ろさないでほしい」と頼んだ。一晩で千段は無理と考えたのだが、鬼どもは夜明け前に積み上げそうになったので、９９９段積み上げた時に一番鶏の鳴き真似をしたので鬼どもは驚き、山に帰って二度と降りてこなかったというもので、この伝説が今日のなまはげ伝説の基になったという。その伝説に因んで本山門前のなまはげ立像の高さを決めたという事である。

　五社堂にはなまはげ立像駐車場から片道３０分で行けるが、上方にある長楽寺五社堂駐車場からは半分の１５分で行けるそうでそちらが便利である（なまはげ立像の左上部にある寺が長楽寺）。しかしそこからでも９９９段ある石段は上らねばならず参詣は遠慮した。（写真はなまはげ立像、大きくしたなまはげ立像）

　その後も海岸線の風景を眺めながら男鹿駅などがある市街地に着く。ここには海鮮市場があり、市場直営の食堂では海鮮丼が１２００円という安さだったので、１４時過ぎの遅い時間になって昼食を摂った。（写真は海鮮丼）

　秋田市に戻り、民俗芸能伝承館で秋田竿灯の展示品などを見た後、降り出した雨の中をホテルに戻った。
（写真は民俗芸能伝承館の観覧券、陳列してある竿灯３景、夜の市内風景）

（以下次号）